会長。私と恋のゲームをしてください。

デート本番

翌朝。

夏樹ちゃんが学校へ行った。

会長と2人きりのリビング。

緊張して体が動かない。



「今日、何時から出掛けるか?」



会長が今日の予定について切り出してくれる。



「えっと。12時にレストランで」

「現地集合か? 別に一緒に家出ても……」

「ダメです!」



思わず声を上げる私。

ハッとしたときにはもう遅かった。


会長の眉間にシワが……っ。



「そんなに俺と歩くのが嫌か?」

「そういうことじゃなくてっ、」



メイクとか髪型とか着替えに時間がかかるの!


それに……。

いつもの私じゃない私を、レストランで見て欲しかったから。

地味子じゃない私を、特別な場所で見て欲しいから。


黙ってしまう私に、会長はため息をつく。



「分かった。12時にレストランな」



そう言って会長は自分の部屋に行ったかと思うと、数分後に階段を下りてきた。

カジュアルな感じの白シャツに黒のスキニーパンツ。


か、かっこいい。

会長はなんでも似合うから羨ましい。


見惚れていると、会長は私の横を通り過ぎて玄関へ向かう。
< 129 / 287 >

この作品をシェア

pagetop