会長。私と恋のゲームをしてください。
夏樹ちゃんが、一生懸命選んでくれた、ワンピース。

それを。



「悪く言わないでください!」



思わず叫んでいた私。

しん、と静かになったのは、一瞬のことで。

彩菜先輩は盛大に笑った。



「やだーっ。怒っちゃった?」



涙が再びにじんでくる。


悔しい。

悔しいけど、なにか言わなきゃ。


言われっぱなしは、嫌だ。




「人の気持ちを、踏みにじらないでください」



静かに言葉を続ける私に、彩菜先輩は驚いた顔をしている。

私がまた叫んで怒ると思ったのだろう。

だけど、それじゃ、伝わらないから。



「私のことは、なんとでも言ってください。だけど、大切な人を傷つけるなら」



私はショルダーバックを肩に掛けなおして、彩菜先輩の横を通り過ぎる。



「絶対に許しません」
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