会長。私と恋のゲームをしてください。
私の力じゃ、反抗しても意味がなくて。


怖い。


彩菜先輩とは、また違う怖さ。


掴まれている腕は痛いし。

振り払おうと何度頑張っても、びくともしない。


路地裏に連れ込まれる!

もう叫ぶしか。



「誰かっ! んーっ!?」



叫ぼうとした瞬間、口をふさがれた。


しかも。

しかも、その、唇で。


目を見開く私。


気持ち悪いっ。

気持ち悪い!



「んーっ!」



口を口で塞がれたまま、両腕をつかまれ、身動きが取れない。


これじゃ、反抗できないっ。

路地裏は入っちゃったし。

誰かに発見されることもないかもしれない。


泣きじゃくる私。

唇が離れたと思った瞬間。

嫌な音がした。


ビリリッ!


え……。


下を向けば、ワンピースが胸元からウエスト部分まで引き裂かれていた。
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