会長。私と恋のゲームをしてください。
「ごめん」



会長のキスの嵐が止まったと思えば、ごめん、と謝られる。


そのごめん、って。

どういう意味……?


それはすぐに会長が答えを教えてくれた。



「我慢できなかった。あんな男がお前に触れたかと思うと許せない」

「会長?」

「だから……。上書き」



そう言って、会長はゆっくりと私の唇にキスをした。


私の頭の中は会長でいっぱいになった。


もう、大丈夫、って思える。

怖くない。

あんな記憶は捨ててしまおう。


今は、会長で頭をいっぱいにしたいんだ……。


長い長いキスが終わる。

コツン、と額がぶつかり合う。



「会長」

「ん?」

「ありがとう、ございます」



いろんな思いを込めて。

その気持ちが届いたのかは分からないけれど、会長は優しく微笑んでくれた。
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