会長。私と恋のゲームをしてください。
「私は大丈夫です」

「……は?」

「私は大丈夫ですよ」



一生懸命笑顔を作る。

これが、本当に私に対するいじめだったら。

私の周りに居てくれる人にも迷惑をかけてしまいかねない。

確実に迷惑をかけるだろう。


会長のことだから、心配だってしてくれると思うし。

それは嬉しいけど、会長に迷惑をかけるのだけは嫌だ。



「こんなの、誰かが気晴らしをしたかっただけですよ」

「北澤……」

「それがたまたま、私だった。……それだけの話です」



私の言葉に会長は納得していない様子で。

そんな会長に正面から話を出来るほど、私のメンタルは強くなかった。



「それに、四六時中、一緒に居ることは出来ないので」



その言葉は、会長を傷つけるのに十分すぎる言葉だった。


会長の気持ちを踏みにじって。

優しさを。

温かさを。


私は拒絶したんだ。

……拒絶せざるを得なかった。


だって。

会長を守るには、こうするしかなかった。
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