会長。私と恋のゲームをしてください。
「宮野」



会長が彩菜先輩を止めようとしてくれるけど、彩菜先輩の言葉は止まらない。



「北澤さんは、春馬くんと一緒に居るから目をつけられたんじゃないかしら?」



その言葉は残酷で。

私と会長を引き離すのに十分すぎる言葉だった。


私のせいで、会長が傷つく。

私のせいで、会長が自分を責めてしまうくらいなら。


……私たちは離れたほうがいいんじゃないかな。



「それは、」



会長が守ろうとしてくれているのは分かっている。

それがどんな理由であろうとも。


だけど、会長がそう思ってくれるなら。

私も同じように、会長を守りたいと思ってしまうんだよ。

 
「会長」



彩菜先輩を睨んでいる会長を呼ぶ。

振り返る会長。

その目にいつもの強さはなくて。

心が痛くなった。



「私のこと、放っておいてください」

「え?」

「最小限の関わりがいいと思います」



高橋家で『おはようございます』と『おやすみなさい』が言えるなら。

私はそのために頑張れる。

会長を守りたい。


だから、あえて突き放す。

それが今の私に出来ることだと思うから。



「スリッパ、借りてきます」



私は靴下のまま、会長と彩菜先輩の間を通り抜けた。
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