会長。私と恋のゲームをしてください。
そこには、今までと変わらない下駄箱があって。

飲みかけの牛乳パックも、汚い雑巾も、牛乳まみれの体操着も。

丸まった新聞も、鼻かんだようなティッシュもなかった。


普段よりきれいになっている下駄箱。


なんで……。

誰が。


……そんなことは、考えなくても分かる。


会長がきれいにしてくれたんだ。

会長のことだから、ゴミを全部、ゴミ箱に捨ててくれて。

大切な体操着とか上履きは捨てずにとっておいてくれて。


その証拠に、近くのゴミ箱には、飲みかけの牛乳パックは捨てられていたけど、体操着はなかった。


空っぽの下駄箱に目を向ける。

よく見ると、ノートの切れ端のようなものが1枚、置いてあった。


なんだろう……。


手に取ると、そこには慌てて書いたような文字。

いつもより読みづらいけど、それはまぎれもなく会長の字だった。
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