会長。私と恋のゲームをしてください。
こらえていた涙がこぼれた。


『大丈夫』と必死に自分に言い聞かせていた。
 
笑顔を保つこと。

泣かないこと。


だけど、ノートの切れ端で、私の心は弱くなってしまうんだ。


『俺が守るから』


文字が、会長の声となって頭の中に入ってくる。


会長を突き放したのに。

それでも、私なんかに、こんなに優しい言葉をかけてくれる。


そんな会長が好き。

だからこそ、守りたいと思うんだ。

この出来事に巻き込みたくない、と。


私は、ノートの切れ端を生徒手帳の間に挟んだ。


この紙だけは大切にしたい。

私の支えとなってくれるはずだから。


心の中で、会長に『ありがとう』と呟く。


そして、会長と関わらないことを心に決めた。
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