会長。私と恋のゲームをしてください。
帰りのホームルームが終わる。


……高橋家に帰るのは気が引ける。

帰る場所がないから、お世話になっているんだけど。


だけど、今は会長と顔を合わせたくない。


今日、1日中、会長との接触を避けていた。

会長がわざわざ教室に来てくれたのに、私はトイレに逃げ込んだ。

会長は心配して来てくれたのに。

私は最低な態度をとっている。

そんなこと、自分でも分かっている。


……気づけば、高橋家への帰り道の途中にある公園のブランコに座っていた。

地面を蹴って、ブランコを揺する。

ギィギィ、とブランコが音を立てる。


揺れる景色。


ここなら、誰にも見つからない。

そう思っていたのに。



「美雪ちゃん?」



名前を呼ばれて顔を上げれば、そこに立っていたのは大切な幼馴染。
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