会長。私と恋のゲームをしてください。
『そうやって信頼関係は生まれていくんじゃないかな』



私と会長に信頼関係が生まれるかは分からないけれど。

ハルくんの仕事先では、信頼関係がうまれて欲しいと思う。



『ユキに話すと、心が落ち着くよ』

『そう言ってもらえてなにより』

『ユキは女神だね』



そんなことないよ。

とは、言えなかった。


だって、ハルくんが微笑んでいるから。

“女神”って呼ばれるのはゲームの中だけで、実際の私なんてただの地味子だ。

現実で“女神”と呼べるのは、まさに彩菜先輩みたいな人だ。


……あれ。

なんで、ここで彩菜先輩が出てくるんだろう。

頭に浮かぶのは、会長の隣で微笑む彩菜先輩の姿。

なんだか、ズキッと心が痛くなる。



『ユキ?』



ハルくんが心配そうな顔をしている。

こんな私の一挙一動に優しく反応してくれるハルくんは本当に優しい。


ハルくんが現実世界で私の隣に居てくれたらいいのに。


なんて、そんなことは言えず。
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