会長。私と恋のゲームをしてください。
「“理樹”って誰?」

「……」

「言えないの?」



夏樹ちゃんの言葉に私はふるふると首を横に振る。

私は震える声で答えた。



「幼馴染だよ。……それだけなの」

「じゃあ、なんでお兄ちゃんは、あんな態度をとるの?」



私は再び首を横に振った。


分からない。

私にも分からなかった。


会長が、なぜ悲しく、痛々しい表情をしているのか。

重たそうな足取りで歩いているのか。


私にも分からない。


……だけど、会長の様子が変わったのは、私と理樹くんが公園で一緒にいるところを見てからだった。


それから。

理樹くんの胸元に光るネックレスを見たとき。

会長はなんともいえない表情をして、感情を読み取ることができなかった。


その出来事を夏樹ちゃんに話す。

夏樹ちゃんは、静かに話を聞いてくれた。



「ソファに座って話そう?」



リビングに座り込んだままの私の腕を取って、夏樹ちゃんはソファに連れて行ってくれる。


本当に迷惑かけてばかりだな……。


これじゃぁ、どちらが年上なのか分からない。
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