会長。私と恋のゲームをしてください。
目を開ける。

視界に入ったのは真っ白な天井。


ここは、どこ……?



「いっ、ったぁ……」



体を動かそうと思った瞬間、背中に強い痛みが走る。


痛い。

痛すぎる。


その痛みによって、意識がハッキリしてきた。


そうだ。

私、階段から突き落とされたんだ。


そして、ここは……。

保健室?



「北澤さん!? 目、覚めた!?」



1番最初に耳に入ってきた声。

透き通るようなきれいな声の持ち主……。



「あ、やな、せんぱい……?」

「そう! 彩菜だよ!?」



ゆっくり首を動かして声のするほうを向けば、彩菜先輩が私の手を両手で握り締めていた。


彩菜先輩は今にも泣きそうで。

声も震えていて。


こんな彩菜先輩、見たことない……。



「どうして、ここに……?」

「大きな音がしたと思ったら、階段の下に北澤さんが倒れていてっ」



彩菜先輩は涙をこぼした。

だけど、そのまま言葉を続ける彩菜先輩。



「慌てて近くにいた先生を呼んでっ! 保健室に運んでもらったの……」

「そうだったんですね……」



私の手を握り締める彩菜先輩の手に力が入る。

手が震えている。


彩菜先輩が助けてくれたんだ……。
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