会長。私と恋のゲームをしてください。
「ありがとうございます……」



本当はもっと感謝を伝えるべきなのに。

伝えたいのに。

喋ると体中が痛くて、言葉を発することが出来ない。



「ごめんなさいっ」



突然、彩菜先輩が大きな声を出す。

頭を下げて、『ごめんなさい』と何度も呟く彩菜先輩。


なんで、彩菜先輩が謝るの……?

彩菜先輩は助けてくれたのに。


涙でぐちゃぐちゃの顔を彩菜先輩は隠すことなく、ひたすら私に謝り続ける。



「なんで、謝るんですか……?」



見たことがない彩菜先輩の姿。


いつものきれいで優しい彩菜先輩でもなく。

意地悪で上から目線の怖いと思った彩菜先輩でもなく。


弱々しい彩菜先輩だった。



「私、酷いこと言って、北澤さんを傷つけた……」

「そんなこと、」

「北澤さんが春馬くんと仲良くしていることに嫉妬してしまって」



初めて聞く、彩菜先輩の気持ち。



「私。ずっと、春馬くんのことが好きで。春馬くんの近くにいたくて生徒会に入って」



黙って彩菜先輩の話を聞く。

驚くことばかりだけど。

それでも、彩菜先輩の話を最後まで聞きたいと思った。
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