会長。私と恋のゲームをしてください。
「私。……会長のことが好きです」



私の恋心。

それを彩菜先輩に伝えても何も変わらないかもしれない。


だけど、彩菜先輩が全てを話してくれたから。

私も話したいと思ったんだ。



「好きなんです」

「……うん」

「それと同時に。……彩菜先輩のことも好きなんです」

「……っ」



驚いた顔の彩菜先輩。

大きくてきれいな目を、さらに大きくしている。

思わず笑みがこぼれる。


……私は彩菜先輩を尊敬している。

私が慣れない生徒会に入ったときから優しくしてくれて。

分からない仕事もゆっくり教えてくれて。

会長に睨まれたときはフォローもしてくれて。

彩菜先輩みたいになりたいって、何度思ったことか。



「だから、大好きな彩菜先輩には笑っていて欲しいんです」



彩菜先輩の瞳から涙があふれていく。

『ごめんなさい』と『ありがとう』を何度も呟く彩菜先輩。

そんなに繰り返さなくてもいいのに。



「そんなに泣くと、きれいな顔が台無しですよ」



意地悪く言う私。

彩菜先輩には笑っていて欲しいから。


冗談めかして言うと、彩菜先輩は涙でぐちゃぐちゃの顔のまま微笑んだ。
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