会長。私と恋のゲームをしてください。
4時限目の授業が終わり、お昼休みになる。

自分の席でひとり、お弁当を食べる。

自分で作ったお弁当を、ひとりで食べるのは寂しいけれど、友達がいないんだから仕方がない。

いまさら、無理に友達を作ろうとも思わない。


高校生活を楽しむなんて無理だと思う。

直感が私に言っている。

こんな直感、当たって欲しくはないけれど。


いつもと変わらない日常。

そう思いながら、お弁当を広げていると。



「美雪ちゃん」



後ろから聞きなれた声がする。

振り返れば穏やかな顔の理樹くんが立っていた。



「理樹くん! なんでここに?」



理樹くんがうちのクラスに来ることは珍しい。

と、いうより、ほとんどない。


理樹くんの突然の登場にざわつくクラスメイトと、驚く私。



「春馬がお前を呼んでいる」

「……会長が? なんで?」



首をかしげる私と、首をかく理樹くん。

理樹くんが首をかくときは、困ったときのクセだ。

多分、理樹くんの様子からして、会長がまたなにか言い出したんだろう。

本当に人を振り回すのが好きな生徒会長だ。


ため息を吐きながら、1度広げたお弁当を再びまとめる私。

クラスメイトのなんとも言えない視線を浴びながら、理樹くんと教室を出る。


生徒会室へ向かう私たち。

私は理樹くんの半歩後ろを歩く。

すれ違う生徒の視線が痛い。
< 20 / 287 >

この作品をシェア

pagetop