会長。私と恋のゲームをしてください。
……気持ちを決めるしかないよね。

自分の気持ちを会長に伝えたい。


もちろん緊張する。

手汗だってすごいと思う。


……それでも私は。



「会長。聞いて欲しいことがあります」



伝える。

伝えるんだ。


会長は、私の目をまっすぐに見てくれる。

だから私もそらすことなく見つめる。



「会長」



心拍数が上がる。

大丈夫。

伝えられる。



「す、……」



“好きです”


そう伝えようと思ったそのとき。

会長の人差し指が、私の唇に触れる。

まるで、『何も言わないで』と言っているかのように……。


一気に不安が押し寄せてくる。

不安でいっぱいで、目に涙が溜まりはじめる。


それでも、目はそらしたくない。

私は潤む瞳で、会長の目を見つめる。


そんな私に向かって、会長は。



「その続きは、俺に言わせて?」



唇に触れている人差し指がゆっくりと離れる。

柔らかく微笑んでいる会長。


会長は腰掛けていた椅子からゆっくり立ち上がって、身を乗り出す。
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