会長。私と恋のゲームをしてください。
きれいな顔が私に近づいてくる。

大好きなその声が、私の耳元でささやいた。



「お前のことが好きだ」



会長がゆっくり離れる。

再び椅子に座る。


その一連の流れは、スローモーションのようにゆっくりと感じた。



「なんて顔してんだ」



そう言って会長は微笑む。


私は今、泣きそうな顔をしていると思う。


だって。

会長に。

『好きだ』って……。


私のことが好き、と言ってくれた。


そんなの。

涙が自然にあふれてくるじゃんか……。



「私もっ。私も、会長が大好きです……」



思いを言葉にした瞬間。

体が温かいものに包まれた。



「かいちょ、う……?」



抱きしめられている。

私、会長に抱きしめてられているんだ。

大切なものを扱うように、優しく抱きしめられている。


私も。

会長の背中に手を回してもいいのかな……。


ゆっくりと、手を伸ばす。

私の手が会長の背中に触れたとき、愛しい気持ちがあふれた。


会長の髪の毛が、首筋に触れる。

くすぐったくて。

心地いいと思った。
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