会長。私と恋のゲームをしてください。
しどろもどろになる私を笑う会長。

多分、会長には私の考えていることが読まれている……。


何も言えなくなった私に会長は耳打ちをした。



「かわいい」



一瞬で、体が熱くなる。

真っ赤になっているであろう耳に、手を当てる。


不意打ちはずるい!


口をぱくぱくさせる私を面白そうに見ている会長は、意地悪だ。



「なんでそんなに余裕があるんですか……」



会長を軽く睨みながら言う私。


会長は私でドキドキしてくれているのかな。

私は会長の言葉ひとつでドキドキして。

顔も見られなくなるのに。

私ばかりドキドキしているような気がする。


頬を膨らます私。

そんな私に会長は一言。



「余裕なんてねぇよ」

「え……」



戸惑う私。


余裕なんてない?

私から見ると余裕の塊みたいに見えるけど……。


首をかしげる私の半歩前を歩きだす会長。

置いてかれないように、慌ててその背中を追いかける。
< 207 / 287 >

この作品をシェア

pagetop