会長。私と恋のゲームをしてください。
「なんで地味子が理樹くんの隣を歩いているの?」

「生徒会に媚っているからでしょ」



冷たい声も聞こえる。

そんな批判的な声が耳に入るたびに、理樹くんと距離を取ってしまう。

もっと堂々と隣を歩いてお喋りしたいんだけど、この空気に負ける私がいる。



「美雪ちゃん。……大丈夫か?」



顔を上げれば、理樹くんが私の隣に並んでいた。



「ぼーっとしているみたいだけど」

「いや! なんでもないよ!」



私は慌てて笑顔を作る。

理樹くんに余計な心配はかけたくない。

私が生徒会に入ってから、他の生徒によく思われていないのは理樹くんも知っている。

理樹くんが私を気遣ってくれるのも感じている。

本当は甘えたいんだけど、甘えたら理樹くんの負担になってしまう。


そんなことを思っているうちに生徒会室へ着いてしまった。

この先に、会長がいると思うと憂鬱になる。

また睨まれたり、嫌味を言われたりするかと思うと行きたくない。


そんな私の思いとは裏腹に、理樹くんは生徒会室のドアを開ける。
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