会長。私と恋のゲームをしてください。
お風呂から上がって、髪の毛も乾かした。

夏樹ちゃんも寝たみたいだし、私もそろそろ寝る時間だな、と思っていると会長に呼び止められた。


ソファに座っている会長の横に腰を下ろす。

会長からシャンプーの香りがする。

なんてひとりで浮かれていると、会長が真剣な面持ちで話を始めた。



「今朝、北澤を階段から突き落とした奴は誰なんだ?」



会長の言葉に、今朝の出来事を思い出す。

浮かれていた私は、冷水を浴びせられたように固まった。


私にぶつかって、私を階段から突き落とした人……。

思い出すだけで、あのときの恐怖が襲ってくる。


体が震え始める。

そんな私の異変に気がついたのか、会長は抱きしめてくれた。


『大丈夫だ』と、言われているような気がした。

会長の腕に守られながら、私はポツリポツリと話す。



「3年生で。……派手な見た目の女の人」



あの人たちに言われた言葉。

私を見る目。

階段から落ちた瞬間。


会長が抱きしめてくれているのに、震えが止まらない。
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