会長。私と恋のゲームをしてください。
……相変わらず陰湿ないじめは続いている。

クラスメイトにわざとぶつかられたり、心のない手紙が引き出しに入っていたり。


1番怖いと思ったのは、朝、教室に入ったときだった。

机の上に花瓶が置いてあった。

そこには花が1輪、ささっていて。


私の存在を消されているようで泣きそうになった。


今まで……。

いじめが始まる前は、空気のように扱われていた私。

だけど、今は空気どころじゃなく、ターゲットになっている。


どちらがラクだったか、と言われれば分からない。

全てが嫌になってしまうように感じるときもある。


だけど、そのときには会長の笑顔を思い出すんだ。


会長が意地悪く笑って。


『負けるなよ』って。

『お前は本当は強いだろ』って、勝手に想像する。


そうやって、私は私を強くする。

エネルギーは使うけど、家に帰ったら会長と一緒の時間を過ごせると思うと頑張れる。


私は、まだまだ頑張らなきゃいけないんだ。

私は手に持っているシャーペンを力強く握って、いつもと何ひとつ変わらないかのように授業を受けた。


大丈夫。

集中しよう……。
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