会長。私と恋のゲームをしてください。
『消えろ』コールが鳴り響く。


なんで。

なんでこうなるの。

私は何もしていないのに。


一歩、足が後ろに下がる。

そのまま、この場から立ち去ろうとしたそのとき。


そっと、肩に温かいものが触れた。

思わず振り返れば、そこには会長が立っていて。

会長の手が、私の肩に触れていた。


会長だけでなく、彩菜先輩と理樹くんもいる。

怒りに満ちた表情の会長。

彩菜先輩も理樹くんも険しい表情をしている。


……なんで。



「こいつが何をした」



なんで、いつも私を守ってくれるの……?



「最初から見ていたけど、美雪ちゃんは何もしていなかった」



理樹くんの声がこの場の騒ぎを鎮めてくれる。

中には反論しようとする生徒も居るけれど、それさえ許さないような圧を感じる。


彩菜先輩が腕を組んで、私の前に立つ。

そして、うずくまっている3年生に言葉を放つ。 



「ひどい演技ね。そういう行動が自分たちの品格を落としているって分からないのかしら?」



顔を歪ませる女子生徒2人組み。

廊下がざわざわとしはじめる。

野次馬生徒たちの冷たい視線は、私から2人組みの女子生徒に移っていた。
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