会長。私と恋のゲームをしてください。
「ありがとうございます」

「おう」



会長の笑顔。

それを見ることが出来たから、生徒会の仕事も頑張れる。

頑張りたいと思える。

会長の笑顔には、そんなエネルギーがある。

本当にすごい人だ。



「今日は解散でいいかしら?」

「ああ」



会長の言葉にそれぞれの教室に戻っていく彩菜先輩と理樹くん。

私も自分の教室に戻ろうとすると。

会長に腕をつかまれ、教室に戻ることができなかった。


彩菜先輩と理樹くんの姿が見えなくなる。



「北澤」



廊下で会長と2人きり。

なにか私に用事があったのだろうか。

それか、他になにか……?


心臓の音が急に早くなる。



「なんで、助けを求めなかった」



会長が腕を引っ張り、後ろから私を抱きしめる。

さらに早くなる心臓の音。



「お前はひとりで背負いすぎなんだよ……」



苦しそうに言葉を吐き出す会長。

先ほどまでの、優しい声は消えていた。


そんな会長に心が痛くなる。

抱きしめられてドキドキしているのと同時に、なんだか切なくて、胸がぎゅっとなる。
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