会長。私と恋のゲームをしてください。
……ひとつだけ。

全てを解決する方法がある。



「私に、司会進行を任せてもらえませんか?」



ふと、浮かんだ案。

私の司会進行で、全校生徒が盛り上がってくれるとは限らない。

むしろテンションを下げてしまうこともありえるかもしれない。

だけど、彩菜先輩が出場できる方法はこれしかないんだ。


私に集まる2人の視線。

心底驚いている表情。



「彩菜先輩みたいに盛り上げ上手じゃないですが……」

「……」

「やらせてください」



私は会長に頭を下げた。

頑張れば、私にだって司会進行役も出来るはず。


だって。



「本当にお前は、真っ直ぐで一生懸命だな」



会長が言ってくれる『真っ直ぐで一生懸命』な私の性格。

一生懸命頑張れば、彩菜先輩には届かないかもしれないけど、司会進行が出来るはず。



「北澤。……任せてもいいか?」



会長の言葉に思わず顔を上げる。

会長は穏やかな表情をしていた。

その中に、私に役を任せるという、強い意志があって。

……期待に応えたい。
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