会長。私と恋のゲームをしてください。
「ハルくんって、温かい人なの。ゲームだって分かっているのに人柄に惹かれるんだよね」



そこまで言って、ハッとした。

ここ、生徒会室……だよね。

鬼の会長だっているのに、私、ゲームの話しかしていない。

ここでくだらない話をするな、って睨まれる。


冷や汗が流れる。

怖いけど、そろりと会長へ視線を向けた。



「っ、」



会長はじっと私を見ていた。

その表情は読み取れきれなくて、なにを考えているのか分からなかった。


怒っている様子でもなさそうだし。

だからといって機嫌がよさそうな表情でもない。


それが逆に怖い。

私が固まっていると、会長が口を開いた。



「北澤は周りを気にしすぎだ」

「……え?」



会長の言葉は予想外のものだった。

私の表情はきっとマヌケ面だ。



「もっと自分を出せ」



“自分”……?

自分を出すってどういうこと?


会長の言っていることが余計分からなくなってきた。
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