会長。私と恋のゲームをしてください。
「はい!」



会長の言葉に頷く私たち。


いよいよ、明日はミスコン・ミスターコンだ。

司会進行もドキドキするけれど。

会長も出場するのが、やっぱり心の中で引っかかる。


グランプリをとったら、“みんなの会長”になってしまう気がして、寂しい。


これって、ヤキモチ?

もやもやする……。



「北澤さん」


気がつけば、彩菜先輩が私の隣に並んでいた。



「明日、頼むわね」

「……はい」



ミスコングランプリは彩菜先輩かな……。


会長と彩菜先輩がステージの上で並ぶことを想像したくない。

そんな思いが顔に出ていたのか、彩菜先輩はクスッと笑った。



「北澤さんの衣装は“小悪魔”かしら?」

「え? あ、はい……」



彩菜先輩の顔が私に近づいてくる。

女の私でも、そのきれいな顔にドキッとしてしまう。



「女の子はね、いつでも子悪魔でいなきゃダメよ」



そう、耳元でささやかれる。

私から離れた彩菜先輩は、その言葉を残して去っていった。


……女の子は子悪魔。

それって、どういう意味なんだろう?


私は疑問を残したまま、文化祭1日目を終えた。
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