会長。私と恋のゲームをしてください。
「グランプリに輝いた人に、スポットライトの光が当てられます!」



おお! と湧き上がる会場。



「まずは、ミスコングランプリ! 栄光を手にする人は誰でしょうか……!?」



再び会場の照明が落ち、真っ暗になった。

その中をスポットライトが駆け巡る。


……私も、この会場にいる生徒と同じように、グランプリに輝く人物はまだ分からない。

この中で分かっているのは、スポットライトの演出を担当してくれている人だけ。


ドキドキするな……。

司会進行もアドリブになるし、グランプリに選ばれる人も分からない。


ぐるぐるとまわるスポットライトが、光を当てたのは……。


パッとスポットライトが止まる。

ステージに立つ、1人だけを照らしている。



「……3年生! 宮野 彩菜先輩です!」



会場が拍手に包まれる。

彩菜先輩は微笑んで、手を振っている。



「彩菜先輩! 一言、お願いします!」



私は彩菜先輩に近づいて、マイクを差し出す。

マイクを受け取った彩菜先輩は、透き通る声を会場に響かす。



「みんな、ありがとう」



短い言葉の中だったけれど、彩菜先輩の魅力が沢山詰まっていた。


会場中に歓声が上がる。

特に、男子生徒からの歓声が大きかった。


彩菜先輩、さすがだなぁ。

感心していると。
< 270 / 287 >

この作品をシェア

pagetop