会長。私と恋のゲームをしてください。
そんな理樹くんに対して、会長が口角を上げて、ふっと笑う。

そのまま、思い切り腕を引っ張られ、会長の胸の中に飛び込んだ私。



「こいつは誰にも渡さない」



理樹くんの握っているマイクが会長の声を拾う。



「渡したくない」



私は会長の腕の中で、目を閉じた。


会長の言葉が胸に入ってくる。

きゅうっ、と締め付けられる。


さっきまで、あんなにも感情がぐちゃぐちゃだったのに。

言葉一つで、こんなにも安心させてくれる。



「北澤」



会長が私を抱きしめる腕を緩める。

会長の顔を見上げる私。



「好きだ」

「ーっ、」



会長から注がれる“好き”という言葉。

優しく微笑んでいる会長に、私は精一杯の言葉を返す。



「私もっ。会長のことが大好きです!」



私の声がマイクに拾われ、会場に響く。


会場から賛否の声が聞こえる。

だけど、それを静めてくれたのは。



「ってことで、生徒会三角関係の茶番は終わり! 俺と美雪ちゃんはただの幼馴染!」



理樹くんだった……。

全部、私を守るために演技をしてくれたの?



「ちなみに、ネックレスは俺の中学卒業祝いだってさ!」



そんな理樹くんの優しさに涙がこぼれそうだった。


賛否の声が、徐々に笑いに変わってくる。
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