会長。私と恋のゲームをしてください。
えーと、会長は……。



「北澤。なにしてんだ?」



突然後ろから聞こえた声に、驚いて肩がはねる。


振り向けば、会長が立っていた。

私は呼吸を整えつつ、用件を話す。



「会長に相談したいことがあって」

「メールのことか?」

「それもそうなんですけど。実は……、」



私は会長に、お母さんから届いたメールのことについて話した。

会長は真剣に聞いてくれる。

全てを話し終えたあと、会長は悩んだ様子で腕を組んでいる。


自分勝手な話だとは思う。

親が帰ってくるから、高橋家から急に去る……、なんて。


どうしよう……。



「お前の両親をうちに呼べ。そこで、ちゃんと話そう」



会長の言葉に曖昧に頷く私。


大丈夫かな……。

お互いの両親は、かなり驚くと思う。



「大丈夫だ。俺もいる」



……そうだよね。

会長もいるし、大丈夫だよね。



「放課後、早く帰るか」

「はいっ」



ドキドキしっぱなしの心臓。


私は会長に教えてもらった、高橋家の住所をお母さんに送った。

……放課後に両家族が集まるんだ。
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