会長。私と恋のゲームをしてください。
放課後。

いつもより早めに高橋家に帰る。

自然と早歩きになってしまう足。

会長との間に、会話はなかった。

2人で緊張しているんだと思う。


……この角を曲がれば、高橋家。

角を曲がって見えたのは、高橋家とその前に止まっている黒色の大きな車。



「ちっ。もう帰ってきていたか」



会長が舌打ちをする。

会長の中の予定が狂ったんだろうな、って思う。


……緊張してきた。


会長は、玄関を開けて中に入る。

続いて私も、家の中に入る。


会長と一緒にリビングへ入れば、夏樹ちゃんの姿もあって。

その横に、会長のお父さんとお母さんらしき人がソファに座っていた。


私たちの存在に気がついたのか、3人が同時に振り返る。



「こ、こんにちは!」



慌てて挨拶をする私。



「2人とも、おかえりーっ」



夏樹ちゃんが元気よく手を振ってくれる。

そんな夏樹ちゃんに、私はぎこちなく手を振り返すことしかできなかった。


会長のお母さんが、ソファから立ち上がり、私と会長に近づく。

目の前に立った、会長のお母さんはとても美人な方だった。



「あなたが美雪ちゃんね? 夏樹から話を聞いたわ」



緊張から、言葉が出ない。

そんな私に気づいたのか、会長のお母さんが私の肩に手を置く。
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