会長。私と恋のゲームをしてください。
「夏樹が珍しく、嬉しそうにあなたのことを話していたのよ」

「こいつがここに泊まっていたことも、夏樹は話したのか?」

「……聞いたわ」



会長がため息をつく。

勝手に何日も泊まっていること……。


お叱りが飛ぶことを覚悟した、私と会長。

だけど、そんな私たちにかけてくれた言葉は、お叱りなんかじゃなくて。



「春馬と夏樹には、いつも寂しい思いをさせていたから。美雪ちゃんが来てくれてよかったわ」



母としての、温かい言葉だった。

その言葉は会長にも夏樹ちゃんにも、私にも届いた。



「ありがとう」

「いえっ。こちらこそ、ありがとうございます……」



深々と頭を下げる。

今までの感謝と、包み込んでくれた優しさに感謝。



「まぁまぁ、そんなところに立っていないで。こっちに来なさい」



会長のお父さんが、ソファから手招きをしてくれる。

会長のお母さんも、お父さんもすごく心が広くて、温かい人なんだな、と思った。


ソファへ向かおうとした瞬間、リビングにインターフォンの音が鳴り響いた。

会長のお母さんが玄関へ向かう。


きっと、うちの両親が来たんだ……。
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