会長。私と恋のゲームをしてください。
「久しぶりの元生徒会が集まったのだから、子供たちは外で夕飯食べてきなさい」



会長のお父さんの言葉に頷くことしかできない私と会長。

その中で首を横に振ったのは、夏樹ちゃんだった。



「お兄ちゃんと美雪ちゃんの邪魔はしたくないから、私は残る!」



その言葉に、大人4人の視線が集まる。

恥ずかしくて逃げてしまいたくなる。



「北澤。……着替えてから行くか」

「はい」



私たちはそれぞれの部屋で私服に着替えることにした。


ハンガーにかかっている、夏樹ちゃんからもらった服を手に取った。

破れてしまった部分は、夏樹ちゃんが寝ている夜中に、直し続けていた。

裁縫の苦手な私だけど、このワンピースは時間をかけてでも直したかった。


ワンピースを身にまとい、リビングへ戻る。

会長は既に着替え終わっていて、リビングで私を待ってくれていた。



「行くか」

「はいっ」



会長とリビングを出ようとしたとき、会長のお母さんに呼び止められた。



「美雪ちゃんが使っている部屋は、そのままでもいいわよね?」

「えっ……。でも、私新しいアパートに帰るんじゃ……?」

「また遊びに来るでしょう?」



……また、ここに来ていいんだ。


そう思うと、今までの思い出とともに、涙がこみ上げてきた。
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