会長。私と恋のゲームをしてください。
「アパートを改装したいの」

「改装……?」

「ええ。このアパートを建ててからずいぶん経つのよ」



まあ、確かに。

このアパートは家賃が安い代わりに、ボロアパートだ。

その古い感じが私は好きだったのだけれど。



「だから、このアパートを1度出て行って欲しいの」

「……え?」



大家さんの言葉に反応したのは私だけだった。

隣に座っているお母さんと、その奥に座っているお父さんを見るとうつむいている。

それは覚悟を決めているような表情だった。


もう、前からその話を聞いていているようで……。

じゃあ、知らなかったのは私だけなの?



「ちなみに、いつまでに出て行けばいいんですか?」

「今日。日付が変わるまでよ」



そんな……。

今日なんて突然すぎる。


私は反論しようとしたけれど、それは大家さんの言葉によって遮られた。
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