会長。私と恋のゲームをしてください。
「美雪ちゃんのご両親には、ずいぶんと前から伝えていたのよ」



その言葉は、私に事実を伝えなかったお父さんとお母さんが悪いといっているようだった。

確かに、その通りかもしれないけれど。

でも。



「美雪」



思わず立ち上がった私を止めたのは、お父さんだった。



「何も話さず、悪かった」



それは私を黙らせるのに十分すぎる言葉だった。

唖然とする私をよそに、大家さんは優雅に紅茶を飲み干す。

そして、すっと立ち上がり、リビングを出ていった。

その去り際に一言。



「そういうことだから、よろしく頼むわね」



バタン。

大家さんが玄関を出て行った。

その瞬間、私は何かが切れたように声を荒らげた。



「なんで言ってくれなかったの!?」



何も答えてくれないお父さんにさらに腹が立った。

そんな私をなだめるように、お母さんが私の手を握る。
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