会長。私と恋のゲームをしてください。
「私は、ここに残るから!」



お父さんとお母さんに言い放つ。



「この家にはいられないのよ?」



お母さんが悲しそうな顔をする。



「そんなの分かっているよ」

「じゃあ、」



お母さんは私を説得しようとするけれど、私はここに残りたい。

県外に行って、転校なんてしたくない!



「友達の家に泊まらせてもらうから!」

「美雪……」



友達なんていないけど。

お母さんに悲しそうな顔をさせたくもないけど。

でも、私は。



「……勝手にしなさい」



その一言は、この場をおさめるのに十分過ぎる言葉だった。

お父さんはソファを立ち上がり、私に背を向けた。

そのままリビングを出て行く。



「美雪」

「お母さん……」



お母さんは立ち上がったままの私の手をその両手で握り、諭すように言った。
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