会長。私と恋のゲームをしてください。
「お友達に迷惑だけはかけないようにね」



迷惑……。

迷惑かけるような友達なんて、私にはいないよ。


もう嫌だ。

この家なんて、出て行く。

お母さんにも、お父さんにもついていかない。


私はお母さんの手を振り払った。



「美雪っ」



そのまま自分の部屋に入る。

大きなリュックを押入れから取り出して、洋服や日用品を詰め込む。

ショルダーバックには、携帯やお小遣いをかき集めたお財布を入れた。


それと。

私の癒しである、大切なゲーム機を入れた。

この家を出て行くための荷造りなんて簡単に出来てしまった。

それがなんだか、悲しく思えた。


もう、この部屋とはさようならだ。


リュックを背負い、ショルダーバックを肩にかけた私は、忘れ物がないか確認する。

……大丈夫。

この部屋、この家での思い出は沢山あるけれど……。


泣きたくなる気持ちをこらえて私は部屋から出た。
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