会長。私と恋のゲームをしてください。
道路の真ん中で涙が止まらない私。


ああ。

やっぱり、お父さんかお母さんについていけばよかったのかな。

こんなに不安になって急に夜の街への恐怖を覚えるくらいなら……。


だけど、あんな言い方をしてしまったら、帰るに帰れないよ。


途方にくれる。

私、このままどうなってしまうんだろう。



「……北澤?」



しゃがみこんで膝を抱えている私の目の前に人影が現れる。



「北澤か?」



北澤。


低い声で私の名前を呼ぶ男の人。

思わず顔を上げる。


そこに立っていたのは。



「会長……?」



会長だった。


なんでこんな時間に。

なんでこんなところに。

なんで、タイミング悪く私の目の前に現れるの……。
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