会長。私と恋のゲームをしてください。
「寒いから、ウチ来るか?」



寒い……。

だけど、会長の手から伝わる体温。

会長の優しさは、とても温かかった。


でも。

会長の家にお邪魔してしまったら迷惑じゃないのかな。


今は誰かに甘えたい。

助けて欲しい。


でも、その先のことを考えてしまったら動けなくなる自分がいた。



「チッ」



会長の舌打ち。

だけど、いつもみたいな威圧感はなかった。



「ごちゃごちゃ考えてないで来い」



ぐいっと引っ張られる。

思わずバランスを崩す私。

何が起こっているのか一瞬、分からなかった。


会長に腕を引っ張られて。

立ち上がった会長は、バランスを崩してしりもちをついた私を見下ろしている。

そんな会長を見上げる私。

驚いたままの私の腕を会長は強く引っ張り、無理やり立ち上がらせる。

勢いあまって、会長の胸に飛び込む私。


その状況に気づくまで数秒かかった。


私……。

抱きしめられている!?
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