会長。私と恋のゲームをしてください。
「ご、ごめんなさいっ」



私は会長の胸を押して離れようとしたけれど、会長は私を強く抱きしめたまま離さなかった。



「体……。冷えているな」

「え……?」



確かに5月の夜といえば寒いけれど。

体が冷え切るほど寒いとは思わなかった。


感覚がマヒしていたのかな。

抱きしめられていると確かに温かさを感じる。

やっぱり体は冷え切っていたのかな……。


って、そうじゃなくて!

私、会長に抱きしめられているんだよ!?

あの、鬼会長に!


世間一般ではイケメンと称され、学校では王子様扱いの、あの会長に!

誰かにこの姿を見られたら殺される!

なにがなんだか分からなくなってきた。



「も、もう! 大丈夫なんで!」



私は先ほどより力を入れて、会長から離れた。

離れた部分が冷えていく。
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