会長。私と恋のゲームをしてください。
会長の前で醜態をさらしてしまった。

冷静になっていけばなっていくほど、恥ずかしくなる。

……バランスを崩したとはいえ、会長に抱きついてしまったし。

泣き顔も見せてしまった。


恥ずかしさで何もいえずにいると。



「お前に涙は似合わないな」

「え……」



全てを包み込むような笑顔を見せた会長。

学校で、女子生徒たちに嘘くさい笑顔をふりまく姿はよく見るけれど。

こんなにきれいな笑顔は見たことがなかった。

思わず見惚れてしまう。



「なにがあったか知らないが、お前は笑っていたほうがいい」



こんな状況で、『笑っていたほうがいい』なんて言われても、ちゃんと笑えるかなんて分からないけど。

だけど、会長がそう言ってくれるなら。



「……はいっ」



少しは笑えるのかもしれない。

今まで抱えていた不安が消えていく。

完全に消えることはないかもしれないけど、薄くはなっていく。


これからどうしたらいいのか、先のことなんて分からないけれど、笑顔でいればなんとかなる。

そう思えた。
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