会長。私と恋のゲームをしてください。
「……おじゃまします」



私の声が小さく廊下に響く。


ご家族は……、仕事とかに出かけているのかな?

兄弟とかはいるのかな?


……私、会長のこと、何も知らないや。

そう思うと、胸がズキッと痛んだ。


リビングであろう部屋に入る。



「お兄ちゃんーっ。 お客さん?」



会長と2人きりなのか……と、思っていると2階から元気な声が聞こえてきた。

足音も聞こえる。

だんだん大きくなってくる足音。

階段を見れば、ショートカットへアの可愛らしい女の子が立っていた。



「夏樹」



会長が“夏樹”と呼ぶ女の子は、私より背が低くて、目がくりくりした女の子。

妹さんかな?



「こんばんは。北澤 美雪、です」



私は“夏樹”と呼ばれる女の子に挨拶をした。

少し驚いた様子の女の子だったけど、すぐに笑顔に戻る。
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