会長。私と恋のゲームをしてください。
「高橋 夏樹です! 春馬お兄ちゃんの妹!」



会長の妹の夏樹ちゃんかぁ。

そういわれれば、よく似ている。

フレンドリーな感じの夏樹ちゃんのおかげで、少し肩の力が抜ける。



「美雪ちゃんは、お兄ちゃんの彼女さん?」

「えっ」

「やっぱり、そうなんだぁ」



夏樹ちゃんは、うんうん、と1人で頷いている。

なんで会長の彼女、ってなるんだろう。

私なんか、会長と釣り合わないのに。


自分で言って悲しくなってきた。

とりあえず否定しなくちゃ。



「違いますっ。私は一人身です!」



焦りから出た言葉は、余計なことまで口に出していた。

“一人身”とか自分で言ってしまう。

確かに私なんかに彼氏がいたら、それこそびっくりだけど。

自虐ネタになってしまった。


落ち込む私の耳に、大きな笑い声が聞こえる。



「あははっ。お兄ちゃん、振られているじゃん」

「振られてねぇよ」



お腹を抱えて笑う夏樹ちゃん。

そんな夏樹ちゃんの姿が新鮮だった。

私の地味な容姿が笑われなかったことに驚いた。
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