会長。私と恋のゲームをしてください。
「私も本当は、髪の毛伸ばしたいの! でもね、部活の規則で……」

「夏樹。静かにしろ」



夏樹ちゃんが話しかけてくれている間に、会長が戻ってきた。

手にはトレーを持って。


ソファの前にあるローテーブルに、マグカップを3つ置いてくれる。

マグカップの中を少しのぞけば、温かそうな飲み物が入っていた。



「お兄ちゃんのホットミルク!? 私、これ好き!」



夏樹ちゃんはオレンジ色のマグカップを手にとって、ホットミルクを飲む。

『あつい!』と言いながらも、幸せそうな顔をしながら飲んでいる。



「美雪ちゃんも飲んで! 美味しいから!」



私は目の前に置かれた、ピンクのマグカップにそっと手を伸ばす。

マグカップが温かくて、冷えていた手が少しずつ温まってくる。



「いただきます」



ホットミルクを一口飲む。


ほんのり甘くて、やさしい味。

温かさが全身に広がっていく。

ホットミルクに包み込まれるような、そんな感覚。
< 50 / 287 >

この作品をシェア

pagetop