会長。私と恋のゲームをしてください。
「半分家で状態で飛び出してきて。……今に至ります」



先ほどまで賑やかだったリビングが、しん、と静かになる。

1番最初に口を開いたのは会長だった。



「北澤の両親の実家は県外か?」

「はい。だから、どちらかについていけば、転校しなくちゃいけないんです」

「そうか……」



再び静かになるリビング。

こんな、どうしようもない話をされても困るだけだよね。


私がうつむいていると、隣に座っている夏樹ちゃんが私の手を握った。



「美雪ちゃんのお父さんとお母さんは、美雪ちゃんが出てきたことに何か言っているの?」



柔らかい口調で聞いてくれる夏樹ちゃんの言葉に涙が出そうだった。


お父さんとお母さんは……。



「……『勝手にしなさい』って言われた」



涙をこらえるのに精一杯だった。

思い出すと切なくなる。

あのときは衝動的だったから、お父さんのこともお母さんのことも何も考えず飛び出してきてしまった。
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