会長。私と恋のゲームをしてください。
「じゃあ、ウチにいればいいじゃん!」

「え?」



夏樹ちゃんが重たい空気を壊すように、明るい声を出す。



「お兄ちゃん、どう思う?」



夏樹ちゃんは私の手を握ったまま、会長に視線を向ける。

つられて、私も会長に視線を移す。


会長は少し悩んだ様子だったけど、すぐに口を開いた。



「夏樹にしては、いい考えだ」

「その言い方はないよ!」



会長と夏樹ちゃんが言い争いを始める。


だけど、2人とも笑っていて。

その様子を見ていると、心がじん、とする。


気がついたら涙がこぼれていた。

なんで自分が泣いているのかなんて、すぐに分かった。


人の本当の温かさに触れているからだ。


涙を流す私に気がついた会長と夏樹ちゃん。



「北澤。気が済むまで、ここにいろ」

「美雪ちゃん! 今日は一緒に寝ようね!」



温かすぎる言葉と笑顔に、私は包まれた。
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