会長。私と恋のゲームをしてください。
それからしばらく、3人でおしゃべりをしていた。

おしゃべりを始めて1時間。

あっという間に時間は過ぎて、現在10時過ぎ。


初めて、こんなにおしゃべりをした。

初めて、こんなに笑った。

心が満たされているときって、時間が経つのが早いんだな、と思った。



「そういや、風呂は入ったのか?」



会長が私に聞いてくれる。

お風呂……。



「入ってないです」



夕方、家に帰って大家さんがいて。

話が終わったあと、荷物をまとめてそのまま出てきてしまったから……。



「シャワーでも浴びてこい」

「え、あ……。ありがとうございます」



人のお家のシャワーを借りるなんて経験したことがない。

今まで、お泊り会とかするような友達がいなかったから。


会長は『シャワーでも浴びてこい』と言ってくれたけど、どこにお風呂場があるのかも分からない。

会長に聞けばいいんだけど、一応私も女の子だし。

恥ずかしくて、もじもじしてしまう。

そんな私の気持ちを読み取ったのか、夏樹ちゃんが私の手を取って立ち上がった。
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