会長。私と恋のゲームをしてください。
全身を洗い終わって、浴室を出る。

バスタオルで体を拭いたら、パジャマに着替える。

このパジャマ、可愛くてお気に入りなんだよなぁ。

最近買ったばかりだから、新しい。


あとは、この長い髪の毛を乾かしたいんだけど……。

ドライヤーがどこにあるのか分からない。

それに、見つけたとしても勝手に使っていいのか分からない。


夏樹ちゃんに聞こう。

私はバスタオルを肩にかけて、脱衣所を出た。

廊下はとても静かだった。

リビングへ入っても話し声は聞こえなかった。


ソファに目を向ける。

会長がソファに座っていた。



「夏樹ちゃんは……?」



独り言のように呟いた言葉を、会長が拾う。



「もう寝た」

「そうなんですね」



って、会長と2人ですか!?


ドライヤーで髪の毛を乾かしたかったけど、どうしよう。

会長に聞くしかないのか。


がんばれ。

聞くんだ、私。


何を緊張しているのか分からないけれど、『ドライヤー貸してください』と言えない私。

立ったままの私に会長は視線を向ける。
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