会長。私と恋のゲームをしてください。
「お兄ちゃん、嫉妬しているのっ?」

「それはないな」



夏樹ちゃんの言葉に、即答する会長。

分からないけど、少しだけ胸が痛んだ。

そんな自分が不思議だ。


夏樹ちゃんと会長が言い争いを始める。

普段もこんな感じなのかな?


と、思って眺めていると。



「夏樹。寝ぐせを直して学校行けよ」

「うぅっ。だって、直らなかったんだもん!」



……夏樹ちゃんの寝ぐせの話になった。

会長も寝ぐせに気がついていたのか。


鋭い。

女の子の身だしなみに、意外と気づくタイプなんだな。


……私も気をつけよう。


会長に寝ぐせを指摘されている夏樹ちゃんが少しかわいそうに思えてきた。



「夏樹ちゃん。……私が直してあげようか?」



出来るか分からないけど。


そういう前に、夏樹ちゃんは、ぱぁあ、と目を輝かせた。



「やって! 美雪ちゃんにやってもらう!」



夏樹ちゃんが私の手を握ったと思ったら、勢いよく引っ張られた。

どこへ行くのかと思ったら、階段を上がっていく夏樹ちゃん。
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