会長。私と恋のゲームをしてください。
「朝飯までには下りてこい」

「はぁい!」



会長の言葉に元気よく返事をした夏樹ちゃんは、そのまま自分の部屋に入っていく。

夏樹ちゃんの部屋は、夏樹ちゃんのボーイッシュな見た目とは反対にすごく可愛くて女の子らしい部屋。

きっと、可愛いものが好きなんだろうなぁ。


夏樹ちゃんは大きめのポーチを持ってきて、そこからブラシを取り出した。

そのブラシを受け取る私。


……この寝ぐせは、ブラシじゃ直らない気がする。



「やっぱり、直らないかなぁ?」



ブラシを受け取ったまま動かない私に、夏樹ちゃんは悲しげな表情をする。

私は慌てて笑顔を作った。



「大丈夫だよ。でも、ちょっと待っていてね」



私は小さな机の上にブラシを置いて、夏樹ちゃんの部屋を出た。

夏樹ちゃんの部屋の、隣の部屋へ入る。

その部屋は、私のために貸してくれた部屋だ。

シンプルな部屋だけど、私は気に入っている。

まだ広げていない荷物の中から、ヘアゴムとヘアピンが入っているポーチを取り出した。

そして再び夏樹ちゃんの部屋に戻る。
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