会長。私と恋のゲームをしてください。
「夏樹ちゃん。出来たよ」

「寝ぐせ、直った?」

「うん。……こっち来て」



私は、クローゼットの横にある大きな鏡の前に夏樹ちゃんを立たせる。

鏡の前に立った夏樹ちゃん。

その瞬間、夏樹ちゃんの顔に笑顔が咲いた。



「かわいい! これが私?」



夏樹ちゃんは、髪の毛にそっと触れる。

髪の毛が短いからって、ヘアアレンジが出来ないわけじゃない。

髪の毛のサイド部分を編み込んでみた。

細いリボンを使って、ヘアゴム部分を隠す。

髪の毛が短いからこそ、ヘア飾りが可愛さを増して見える。



「そうだよ。夏樹ちゃんは可愛い女の子だよ。……私が保証する」

「ありがとっ」



くるりと回って、自分の姿を鏡で確認する夏樹ちゃんは誰よりも可愛いよ。

無邪気な姿に、私も笑顔がこぼれる。



「お兄ちゃんに見せてくる! あと、クラスの子たちにも見てもらう!」



はしゃいだ姿は中学1年生らしい、あどけなさがあった。

そんな夏樹ちゃんに、私は頷いた。
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